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最高裁判所第一小法廷 昭和29年(オ)252号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

論旨は、原判決に民訴三九五条一項三号に該当する法令違背があると主張するが、支払命令を発した簡易裁判所に土地の管轄違の違法がある場合であつても、右支払命令に対し、債務者から適法な異議の申立があつた場合においては、右支払命令申立の時において、その命令を発した簡易裁判所又は其の簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所に訴の提起ありたるものと看做され、支払命令はその効力を失い、通常訴訟として訴が進行するに至るものであることは民訴四四二条の規定により明らかであつて、この場合においては、右訴の管轄については、管轄に関する一般規定が適用せられ、専属管轄に関する民訴四三一条の規定は適用の余地なきものと解すべきである。それ故、所論は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫)

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